カビの生えたパンのイラスト

カビはどこまで怖いのか。

カビは体に悪いということは、誰もが小さいころから親に教わることだと思いますが、どれくらい悪いのか、についてはっきり分かるという人は少ないと思います。現在わかっているカビの有害性がどのようなものなのかについてお話したいと思います。

カビとは?

カビは、微生物の中で、肉眼で観察されるコロニーを作っている状態のものを指す言葉です。カビは、ある特定の分類群の生物を指すわけではありません。そのため、菌類だけでなく卵菌類や原生生物に属する種も含むなど、幅広い分類群にカビと呼ばれる種が存在します。

カビの毒性

全てのカビが有毒物質を作るわけではありません。カビの種類によって、作る毒素も決まっており、知られている毒素は、数種類あります。その中でも人間への発がん性が認められているのは、アフラトキシン系の毒素のみです。また、カビの毒素は、熱するなどの調理をしても分解されにくいということが知られています。

風呂場のカビ
風呂場のカビ

発がん性

アフラトキシンは、カビが作る毒の中で最も恐れられている物質です。ピーナッツなどのナッツ類、ナツメグや唐辛子などの香辛料などから検出されます。大量に摂取すると、肝障害を引き起こし、黄疸などの症状が出て、死に至ることもあるようです。ケニアで起こったアフラトキシン中毒では、317人に黄疸の症状が出てそのうちの125人が死亡しました。急性でなくても、毎日1ng / kg摂取し続けると、1000万人に1人、B型肝炎感染者は100万人に3人の確率で肝臓がんを発症すると推定されています。日本では、すべての食品から10ug / kg以上のアフラトキシンが検出されたものについては販売が禁止されています。アフラトキシンを生成するカビは、熱帯地域で発生することが多く、日本では、急性中毒に陥るほども大量摂取することは考えにくいです。また、アフラトキシンは、自然界にあるもののうちもっとも発がん性が高い物質ともいわれますが、ガンになる率は意外と高くないという印象です。アフラトキシン以外にも、カビが作る毒の中には発がん性が疑われているものがありますが、人に対してどの程度害があるのかについて、はっきりとしたデータがないようです。

発がん性以外の害は?

嘔吐、腹痛、下痢といった急性症状を起こす毒素を生産するカビがいます。しかし、日本では、このような急性症状の報告例は、ここ数十年ないそうです。かなり大量にカビを食べないと急性症状には至らないと考えられます。また、造血機能障害、免疫機能抑制作用のある毒素を生産するカビや、肝臓や腎臓に悪影響を与える毒素を生成するカビがあります。また、空気中に浮遊してアレルギーの原因になると考えられているカビもあります。

有害なカビはどんなカビ?

どのカビが有害でどのカビが無害なのかについては、気になるところだと思います。
カビの種類は肉眼で見てもよくわからないですが、どこに生えたカビなのかということがカビの種類を知る重要な手がかりになります。
有害な毒素を作るカビが発生する食べ物は、限られたものしか知られていません。
とうもろこし、落花生、コーヒー、ココア、米、小麦、大麦、その他穀類、りんご、乾燥果実、香辛料などです。

無毒のカビが生えた食品は食べても大丈夫?

上記以外の食べ物にカビが生えていた場合、食べても大丈夫なのかということになりますが、やはり食べないほうが良い理由が2つあります。

1つ目の理由は、カビの害が全て知られているわけではないということです。急性症状が出る場合は、まだわかりやすいのですが、発ガン物質のように、長期に渡って摂取することにより影響が出るものに関しては、特に人に対して実験することが困難です。そのため、現在発がん性があるとは認識されていないカビにも発がん性がある可能性が残っているということになります。また、カビで真っ黒になった食品を大量に食べるといった、普通しないようなカビの摂取の仕方をした時には、急性症状を起こす場合があったとしても、そのような摂取を行ったことのある人が少なすぎて、そのような害について知られていない可能性があります。

2つ目の理由は、見えているカビ自体に害がなくても、カビが生えるような環境で保存されていた食品は、カビ以外の目に見えない微生物も繁殖している可能性が高いということです。それらの微生物が生産した毒により、お腹を壊したりする可能性があります。

カビ
玉ねぎに生えたカビ アスペルギルス・ニガー

上記の2つの理由から、カビが生えた食べ物を全く気にすることなく食べるのはやはり危険です。ですが、カビが生えたからといってなんでもかんでも捨ててしまうのは、食べ物を粗末にする過剰な反応といえます。例えば、玉ねぎの表面についたカビは、洗えばきれいに取れます。目に見えない菌糸が残っているかもしれないという意見もあるかもしれませんが、玉ねぎには、カビ以外の目に見えない菌が無数にいるはずです。それら、除きようのない無数の菌が有害か無害かは、多くのカビと同程度に分からないですが、普段私たちは気にせずそれらの目に見えない無数の菌を食べて、健康に生きています。カビによる急性症状の報告例はここ数十年日本にはなく、現在最も強い発がん性があると知られているカビ毒のアフラトキシンでさえ、健康な人であれば毎日摂取して1000万人に1人ガンになるという確率です。尋常でない量のカビを一度に摂取する、もしくは、毎日のように目で見て分かるほどカビが増殖した食べ物を摂取し続けるといった普通の人が経験しないようなカビの暴露がない限りは、日本ではカビによって健康を害することはほぼないと考えられます。

ただ、東南アジアでカビの生えた食品を食べるのは避けたほうが良いと思われます。先述の通り、強い毒性のアフラトキシンを生成するカビは、熱帯域で多く発生します。海外旅行中にお腹をこわすのは結構辛いもんがあります。海外の病院をenjoyしてみたいって考えていない限り、カビの生えた食品は食べないほうが良いでしょう。

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